チューリップラブ







「私たちこそ、もう一度行くと言いながらお店に行けてなくて…あのエコバッグもうひとつ欲しいんですけど」

そう言いながら珈琲を出してくれた紫乃さんに聞いてみる。

「そんなに何個も使います?私は嬉しいですけど…」
「長谷川のお義母さんにひとつあげたらお気に入りで、サイズ違いもあげようと思っているので、同じものをひとつずつ欲しいんです」
「ハセイチブログのおかげで忙しくて、あのエコバッグ品薄なんです。取り置きしておきましょうか?」
「いえいえ、乃愛さん。他のお客様にぜひ買ってもらってください。もう良さを知った私は次に入荷してたくさんある時に買いに行きます」
「紫乃さんもお客様なのに気を使わせてごめんなさいね。でも…そうさせてもらいます。紫乃さん連絡先交換していいですか?連絡入れさせてもらいますね」

店もあるので珈琲だけ飲んで失礼する。帰り際に長谷川くんが

「俺はブログに‘こんな店に行った’と載せただけで特に素晴らしいとか書いたわけではないから、店が魅力的だったということだと思う。また紫乃と行く」

そう言い軽く手を上げた。

「それでも、写真まで載せてくれて莫大な人数の目に触れてこそだもの、ありがとう。感謝してる」
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