チューリップラブ
人が人を呼ぶのはいつの時代でも変わらないのだろうが、今のスピードには驚かされる。近隣県から週末都内へ遊びに来る人が店へ訪れてくれるようにもなり日曜日のお休みを変えてくれという希望もいくつか耳にした。
「考えたんだけど、日曜日を定休日のままで続けるよ」
2月の日曜日、玲央の部屋で一緒に夕食を作りながら言う。夕食を作ると言っても10分レシピが常日頃の私たちだ。日曜日であっても相変わらず10分レシピだ。すき焼き肉、豆腐、玉ねぎ、白ネギ、椎茸、えのきを深めのフライパンで煮るだけ。味付けは市販のすき焼きのたれのみ。
「はい、すき煮完成」
フライパンのままテーブルの真ん中に置いて、玉子はつけずにスパークリングワインと合わせる。
「俺、まず米」
そう言いながらお茶碗一杯のご飯を持ってきた玲央は
「不定休でなければいいと思うぞ…ん、乃愛」
先に私へお肉たっぷりの割合ですき煮を取ってくれる。
「ありがとう。店が忙しくなって嬉しいけど玲央との休日もたまには欲しいから」
「俺はある程度自分で休みが調整できるから乃愛の好きにすれば適当に合わせるぞ?いただきます」
「いただきまーす」