花からミルフィーユ

喫茶店②

時計のアラームが鳴ったのはおよそ四時間後だった。

夜中の出来事はどうやら夢ではなかったようだ。

テーブルに置いてあるビールの缶がそれを物語っていた。

シャワーを浴び着替えると、コーヒーを淹れ煙草に火をつけた。

今日に限ってスケジュールはぎっしりと詰まっていた。

11時の商談は時間を早めることはできない。

13時からのOA機器を設置する件については時間が遅れることを伝えるしかない。

いつもより早めに家を出た。

会社に着くと一日分の資料をまとめて、可能な限りのOA機器をワゴン車に乗せていった。

なんだかんだで全てを乗せることができた。

その頃になると受付の女の子がやってきた。

「今日は昼間も帰ってこれないと思う。もし急用があれば電話をしてくれ。」

僕がそう言うと彼女はわかったと言った。

彼女は僕のスケジュールを僕以上に把握していた。

愛嬌があり頭の回転も速い。

どんな仕事でも上手くバランスをとりながらやってくれている。

決して他の社員が仕事ができないと言っているわけではない。

彼女は僕の会社で働くにはもったいないと言った方が正しいかもしれない。

「お昼ご飯に近くのハンバーガーをテイクアウトしようと思っていたのですが…」

そう言えば近くにできたハンバーガーショップを近々テイクアウトしようと約束していたのを思い出した。

すまない、また別の日にしよう。


その日はいろいろな事がスムーズに進んだ。

喫茶店での出来事を除けばだが。

いつもは混んでいる道もスムーズに進めた。

商談先も急ぎの案件だったようで価格と納品日を確認するなり即契約となった。

僕はその都度会社に電話をし発注を早めにするよう伝えた。

なんとか12時には約束の喫茶店に到着した。

店内はほぼ満席だったが、一か所だけ向かい合わせのテーブルが空いていた。

僕はそこに案内された。
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