花からミルフィーユ
第一章 ユーモアに欠ける

なんてこった、肩がこった①

携帯がなったのは夜中の2時を回ろうとしていた時だ。

当然僕は寝ていた。

しばらく無視していたが鳴り止む様子もなかった。

しかたなく画面を開くと名前も番号も表示されていなかった。

アラームが鳴っているというわけでもない。

携帯が壊れたのだろうと思い電源を切ろうと試みたり電池を外そうと試みたりしたが着信音はやまなかった。

夢でも見ているのだろうと思い、布団マットの下に携帯を入れ込んだがそれでも着信は鳴り止まなかった。

諦めて電話に出てみると男性の声がした。

「随分と待ったよ。どうしてもっと早く電話に出てくれないんだ?」

僕は黙っていた。

こんな遅くに電話をかけてすまなかった。

「それで何の用なんだ?」

「急で申し訳ないのだが、明日の昼12時に渋谷駅近くにある喫茶店に来てもらいたい」

急に言われても困る、僕だって仕事があるのだから。

僕はそう言ったが彼は引かなかった。

話にならないと言い電話を切ろうとしたが切れなかった。

「君が納得してくれるまでこの電話は切ることができないんだ」

僕は明日のスケジュールを一通り思い出した。

短時間で済ませてほしいと伝えたがそれは君次第だとのことだった。

まったく困ったものだ。

僕が何をしたというのだ。

いっそのこと携帯を外へ投げつけてしまおうかとも思ったが仕事に支障をきたすわけにもいかなかった。

「わかった。明日の12時に行くよ」

僕がそう言うと彼は礼を言った。

「僕だって本当はこんなことをしたくないんだ。だけどこうでもしないことには…。ひとまず君には本当に申し訳ないと思っている。仮に君が損するようなことがあれば全てを代償する」

彼はそう言うと約束の時間と場所を再確認し電話を切った。

時刻は3時を回っていた。

僕は頭がこんがらがっていた。

冷蔵庫から缶ビールを取り出し一気に飲んでしまうとそのまま寝てしまった。
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