桜色の雨に打たれて

桜色。


「おはようお母さん」

「おはよう。ご飯できてるから食べてね」

今日も、雨が降っていた。

今夜は、つむにご飯をあげるために起きてしまって、あまり眠れなかった。



「いってきます」

無意識にため息が出てしまう。

寝れなかったし、昨日いろいろあった透真と学校で会うのは、気まずい。


すると、大粒の雨が霧雨に変わった。

しかも、ただの霧雨ではなかった。









――薄い桜色の雨だった。









濃い色ではないけど、確かに綺麗な桜色だった。

私は立ち止まって、ずっと雨を見ていた。


「どういう、こと?これ、現実、なの?」


その時、透真の目の色と同じ色だというのが頭に浮かんだ。










「――これ、、、普通の雨じゃ、ないよ。」










なんとか、ギリギリで学校に着くと、いつもは透真だけなのに20人以上の人がいた。

もっと早く出るべきだった。と後悔した。


「あ、美優!おはよう」

「おは、よう」

「今日、遅かったね。なんかあった?」

「いや、あの、ちょっといい?」

「ん?」


私は透真を廊下に呼び出した。

「どうしたの?」

「えっと、聞きたいことがあって、、、」


私が話そうとすると、そのタイミングで予鈴が鳴ってしまった。


「「あ、、、」」

最悪のタイミングだ。

「予鈴、鳴っちゃったね」

「帰りに話すね。ホントにごめん」

「分かった。また聞かせて」

「うん」




関係ないかもしれないのに、どうしても気になったから、聞くことにした。








「やっと終わったー」

「で、話したいことって何?」

「えっと、その話なんだけど。私の勘違いだったら、ごめんね」

透真はゆっくりと頷き,真剣に私の目を見ている。

「今日の朝さ、私には、薄い桜色の霧雨が降ってるように見えたの」

「えっ」

透真は目を見開いていた。

「でね、その色が、透真の目の色と同じように見えて、なんか、透真知ってるかなって、思って」

「僕の目の色に見えたの?」

「う、ん」

私がそういうと、透真が泣きそうな顔をした。

「透真?え、ごめ」

「違う」

透真が私の言葉を遮る。

「謝らないで。」


「やっぱり朝の雨って」


「そう。僕が雨を降らせた。ここで話すのはあんまりよくないから、違うところで話したい。」

「じゃあ、前の公園は?」

透真は「公園は危ないじゃん」と首を振った。

私が場所を考えていると、透真は何か思いついたように顔を上げた。

「僕の家来て」

「えええ!そ、そんな申し訳ないです!」

「もう家くらいしかないから。メールで住所教えるね」

「わ、分かった」
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