神様、この恋をよろしくお願いします。
「…今日も相沢は遅刻か!」

現在2時間目の授業は社会、担当の先生はいっちゃんじゃなくて生徒指導の本郷(ほんごう)先生。

この本郷先生…ハッキリ言ってあたしは苦手。
いっつも目力すごいし、怒ったみたいな言い方するし、忘れ物した日は放課後呼び出されて説教されるから。まだあたしは呼び出されたことないけど、呼び出された友達からその夜長文LINEが届くぐらい荒れてたもん。
…それはもちろん忘れ物する方が悪いんだけど。

「あいつはしょーもないなっ」

本郷先生の低い声が響いた。
ボソッと呟かれただけだったのに、それにみんなビクッてしちゃって今日の授業は当たらないといいなって思った。

そんなこともお構いなしに、ガラッと大きな音を立てて現れた。



相沢悠くん。



「遅いぞ相沢!今何時だと思ってるんだ!?」

「………。」

「もう2時間目も始まってるぞ!」

「……。」

え、無視?勇者なの?

「おい、聞いてるのか!!」

一言も発さずそのまま席に着いた。

窓際の、前から2番目の席が相沢くんの席。

私の席からは遠いけど、廊下側よりの後ろの方の席だから相沢くんがよく見える。

「いい加減髪色を直せと言ってるだろ!コンタクトだって、視力に問題がある以外は禁止だ!」

今日も相沢くんは青い瞳にキラキラした髪色をしている。

誰にも染まらない、自分だけを表している気がしてこんなこと言っちゃいけないけど…そこはちょっとカッコいいなって思ってた。

しーんとした教室に先生のチッという舌打ちが聞こえた。

だけどみんな聞いてないフリをした。

「…まぁいい、授業の続き始めるぞ。相沢は後で俺のところに来るように」
 
ドスンっと下に響く声、なのに相沢くんは涼しい顔して教科書を取り出した。

教科書は開くんだ!
何それ、授業受ける気あるの!?ないの!?

はぁーっと息を吐いて、耳からイヤホンを外した。

え、イヤホン?

ワイヤレスのイヤホン?
もしかしてイヤホンしてたから聞こえてなかった…?

てゆーかそれ最初から先生の話聞く気ないよね!?
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