神様、この恋をよろしくお願いします。
「今何の授業?」

「今は社会!本郷先生の授業だよ」

「へぇ」

聞いて来たわりに悠の返事は興味あるんだかないんだかよくわからない。
まだ寝たりないのかもう一度あくびをしていた。

「ねぇ、その…目と髪のこと。なんで本郷先生にほんとのこと言わないの?」

「言ってるし、何度も」

「…確かに」

生まれつきのものなら許してくれるよって思ったけど、そーいえば服装検査の時言ってるの聞いたなぁ。全然信じてないっぽくて、結局怒らせてたもんね。

「でもカラコンもしてないし、髪だって染めてないのは本当なんだから!それで悠が怒られるなんておかしいし!」

あたしの方が熱が入っちゃって、目力強めに悠の方を見ちゃったけど悠本人はちっとも気にしてなさそうだった。

「それが本当だって証明出来るもんもねぇし、しょーがねぇんじゃねぇの」

階段の上であぐらをかいて、ぼぉーっと目の前に生えてる草見て…

………。

聞きたくて、迷ったけど気になって。

さらっと言えば教えてくれるかなって。

すぅっと静かに息を吸って、おそるおそる口に出した。

「…お、お父さん…は?いるんだよね?」

お母さんはいないって、でもお父さんのことは聞いてない。

家に帰りたくない理由は、お父さんなのかなぁ…

「いるけど。でも、空気みたいなもんだからな」

「そう、なんだ」

どこまで教えてくれるかな、どこまで踏み込ませてくれるんだろう。

もっと悠の中に入って行きたいのに。

「担任にも言ったけど、信じてるかわかんねぇし」

「いっちゃん?いっちゃんはいい先生だからきっと信じてると思うけどなぁ、ちょっと頼りない感じするけど」

「まぁどっちでもいーんだけど」

そうかな、いいのかな?

でも噓付いてないのに嘘付いてるみたいに言われて、理不尽に怒られて嫌な思いしてないのかな…

「あ、委員長は!?委員長の信頼はエベレスト級だよ!」

誰にでも愛されてる委員長が言えば間違いない、絶対みんな信じると思う!

「それはいい、あいつとこれは関係ないから」

「……。」

そんなことないと思うけど。だって委員長は誰にだって優しいけど悠には特別優しい気がしたし、幼なじみってだけあって悠のことわかってるような感じもしてたしなぁ…。
< 41 / 99 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop