夫の一番にはなれない
その手が頬に添えられたとき、わたしの中の不安が少しずつほどけていった。
ぎこちなく触れた唇が、2度目にはもっと自然になっていた。
この人の温度を、もっと感じたいと思った。
わたしを抱き寄せた來の胸に、顔を埋めると、規則正しい鼓動が聞こえた。
それはどこか懐かしくて、ずっと昔から知っていたような音。
服を脱がされるとき、恥ずかしさよりも、ただ「信じたい」という気持ちのほうが大きかった。
來の目が、まっすぐにわたしを見ていた。
なにも言葉にしなくても、彼の表情から、想いが伝わってくる。
初めて肌が重なるとき、どちらからともなく目を閉じた。
優しくて、切なくて、触れるたびに、わたしたちは少しずつお互いの距離を埋めていく。
「大丈夫?」と聞くかわりに、來はわたしの髪を撫でてくれた。
その手のひらの温かさに、こみ上げてくる想いをそっと飲み込んだ。