夫の一番にはなれない
田淵祥吾くん。來の教え子ではないけれど、2年2組の生徒。
それなりに元気な生徒だったはずが――
帰宅しておらず、連絡も取れない。これはただの外泊とは訳が違う。
「先生たちが招集されて、今から手分けして探すことになった。学校近辺を回るって」
來が上着を手に取ったのを見て、わたしも急いで立ち上がる。
「わたしも行く。保健室にも戻っておきたいし、生徒の交友関係で何か分かるかもしれないから、友達に連絡してみる」
「わかった。一緒に行こう」
こうしてわたしたちは、久しぶりに同じ車に乗って学校へ向かった。
暗くなった街を、雨が静かに叩く。
ワイパーの音と來の沈黙だけが車内に響いて、胸の奥がざわざわした。
到着すると、すでに数人の先生が集まっており、それぞれが担当区域を決めて出発しようとしていた。
來はすぐに外回りの担当として動き、わたしは学校に残って、田淵くんの友人宅への電話連絡を引き受けることになった。
「奈那子先生、何か情報入りました?」
「いえ……宮部くんの家にもいないみたいで……。今、彼にも田淵くんに連絡を取ってもらってます」