夫の一番にはなれない
「ヒロちゃんと、昔……2人で会ってたこと、あった?」
「え? まあ……たまには、ね。涼ちゃんがいないときとかは、勉強一緒にしたり、たまにカラオケ行ったり……」
來はしばらく沈黙して、目線を逸らす。
「……その時、何か……されたり、した?」
その言葉に、わたしは一瞬、意味が掴めなかった。
「え……何を?」
「キスとか、触られたとか、抱きつかれたとか。そういうの、された?」
そのとき、來の顔が冗談ではないと悟って、思わず息を飲んだ。
「そんなこと、ないよ。ただの友達だもん……」
「でも、ヒロは“男”だろ」
「……それ、ヒロちゃんに言ったら本気で怒られるよ」
わたしは少し笑ってごまかそうとしたけれど、來の目は真剣だった。
「安易に、密室で男と2人にならないでほしい」
その言葉に、わたしは思わず返した。
「でも、來だって……ヒロちゃんのこと、ただの“男”だと思ってるの?」
「……そうじゃない。でも……」
言葉が続かない來の沈黙の中に、何か抑え込んでいた感情の存在を感じた。