身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました

 こんなに想ってくれる人を、私に突き放せるわけがない。もう一度愛し合いたい。自分が本当に望む方へと気持ちがどんどん傾いていく。


「……私と昴を、受け入れてくれるんですか?」
「もちろん」


 彼は当然だというような調子でさらりと答え、私に真剣な眼差しを一直線に向ける。


「もし新しい道に一歩踏み出したい気持ちがあるなら、俺が君と昴くんの手を引く。君の宝物ごと愛したいんだ」


 大きすぎる彼の愛に、心臓が強く揺さぶられた。

 嘉月さんは、私たちには大切な誰かがいると思っているのに……きっと生半可な気持ちではここまで言えない。私も恐れてばかりいないで、家族になるために努力するべきなんじゃないだろうか。

 彼の意思の強さに後押しされ、私も意を決する。すうっと息を吸い込み、「踏み出したいです」と応えた。

 彼の表情に安堵の色が浮かび、私にも笑みがこぼれる。私たちの頭上に、消えたと思っていた虹色のシャボン玉が高く舞い上がっていた。


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