身ごもり婚約破棄したはずが、パパになった敏腕副社長に溺愛されました

 そっか……動物園は嘉月さんとも一緒に行きたいっていう意味だったのか。遊園地や水族館に行くのも、肩車も。全部パパとやりたいことだったんだね。

 わくわくした様子の昴を見てほっとする。同時に、彼が希望に満ちている嬉しさや、我慢させていた切なさで胸が締めつけられた。

 これからは家族三人での幸せをたくさん感じさせてあげたい。改めて強く思い、小さな肩に両手をぽんっと置く。


「昴がやりたいこと、ぜーんぶやろう! 運動会も見に来てもらって、お誕生日も皆でお祝いしようね」
「おー!」


 グーにした手を上げて元気な声で賛成してくれた昴を、私は笑顔でパンダごとぎゅーっと抱きしめた。

 私たちが家族になれる日は、きっとすぐそこまで来ている。


 大型連休真っ只中の憲法記念日、嘉月さんはさっそくわが家に挨拶をしに来てくれた。もちろん、結婚したいという意思をふたりで伝えるために。

 私も嘉月さんのお母様と伯父様に会いたいのだが、どうしても先に私の父と話したいという彼の希望を汲んで、今日の会を計画したのだ。

 凛々しいスーツ姿でやってきた彼は、玄関に入ったところで父と対面し、綺麗にお辞儀をする。
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