白い結婚なので離縁を決意したら、夫との溺愛生活に突入していました。いつから夫の最愛の人になったのかわかりません!

離縁を決意したら屋敷が全焼しました(フィルベルド視点)

「殿下……」
「フィルベルド。すまない……」

第一殿下であるアスラン殿下が、ソファーにぐったりともたれたまま力なくそう言った。
俺は第2騎士団の所属で、この第2騎士団の団長をしている。その第2騎士団は殿下の警護に当たる騎士団だ。

そして、殿下が隣国ゼノンリード王国に留学に行く時には、第2騎士団も一緒について行くこととなった。
留学とは言っても、殿下が毒を密かに盛られ一命はとりとめたが暗殺を警戒して一時的に城から出すためだった。
そして、アスラン殿下の母君の故郷である隣国のゼノンリード王国に、しばらく身を寄せることとなり、そして6年と言う月日が経った。

帰国したのも、先ほどで、やっとディアナに再会出来るのに遅れてしまっていた。

いつまでも妻のディアナと殿下に挨拶に行かないから、殿下は未だに探していたと思って申し訳なさそうになっている。

「アスラン様。今日はどうぞこのままお下がりください……」
「……妻には、会えなかったのか?」
「見つけましたが、心配なんです……」

ディアナはあんなところで自殺をしようとしていた。
何が彼女を追い詰めたのか……もしかしたら、俺がずっと放置していたからかもしれないと思うと、胸が痛んだ。
それに、これ以上彼女と離れて暮らす事など考えられない。

「……ルトガー。殿下をこのまま、城の部屋にお連れしろ。俺が、数分だけ挨拶に回って、そのまま疲れたとでも言って下がる。さいわい今日隣国のゼノンリード王国から帰ったばかりだ。不自然ではない」
「すまない……俺が不甲斐ないばかりに……」
「殿下のせいではありません……探し物も見つかりませんでしたし……」

副団長の茶髪のルトガーに殿下を任せて、夜会に回り殿下の挨拶を代わりに済ますだけ。

ずっと会いたかった妻。とにかく早くディアナのもとに戻りたかった。

そして、殿下の代わりに夜会に回り、すぐにディアナを待たせていた控室に行くと、彼女はいなくて控室の中で茫然とした。

「団長!! 大変です!!」

そんな中で、殿下を城の部屋に連れて行ったルトガーが、荒々しく扉を開け血相を変えて控室にやって来た。

「ルトガー!! 大変だ!! ディアナがいなくなった!! すぐに探してくれ!! さっきの可愛い女性だ!!」
「その奥様のことです!」
「まさか、誰かが誘ったのか!? あんなに綺麗になっていたから……!」
「違います!! 屋敷が……団長のアクスウィス屋敷が火事です!!」
「……っ!? ディアナは!! ディアナはどこだ!! まさか、帰ったのか!?」

衝撃の報告に、控え室を飛び出し馬に乗ると一目散に屋敷へと駆けていた。



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