だめんずばんざい





その直後に、ばあちゃんがカオルちゃんに生活の不自由がないかを聞き、わざわざ外商を行かせようか?と言ったのは、白井母に‘あなたなんていなくても自分たちがカオルちゃんを大切にする’と言いたかったのだろう。

そして父さんは日常を気にしてスーパーなどと聞く。俺は先日の楽しい初体験を自慢したくて箸を置いて話を始めたが

「えっ、薫子こっちでも運転してるの?」

というババア…もとい、白井母の声に遮られる。その声は運転に感心するものでなく明らかに批判的な響きを含んでいるのでイラついたが、カオルちゃんが表情を変えずにいるので、グッとこらえ

「この前は行きが俺で帰りがカオルちゃんでしたよ?」

何でもないように…多分出来てたと思う…そう答えると

「カオルちゃん、運転するのね。だったら岳ちゃんがいなくてもいつでも運転して屋敷まで来て」
「そうだね。いつでも迎えの車も出すが、好きな時に気ままに来るのがいいだろうね。待ってるよ」
「何なら私が運転して迎えにも行けるわ」

ばあちゃん、じいちゃん、母さんの順に援軍が登場する。

「スーパーが楽しかったってどういうこと?俺、そんなこと思ったことないわ」
「ははっ、寛人にはまだわからないんだよ‘広告の品’とか‘超特価’の文字を見ながらビニール袋に自分で野菜やイカを入れる楽しさが」
「「「「「イカ?」」」」」

五百旗頭家の声が揃うと、俺の自慢話が再開できるとわくわくした。

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