だめんずばんざい
side 岳人






まだ二度目なので確かではないが、カオルちゃんは母親と会うという前日になると口数が少ないかもしれない。俺が話せば軽快な返事が返ってくるところは普通に見えるが、カオルちゃんからの発信が少ないように思える。

顔合わせ当日の朝、昼食が遅めだから普通のトーストではなくピザトーストにするというカオルちゃんの隣で、自分の分を作ってみる。切ってくれたウインナーやピーマン…明らかに具材を乗せすぎてトースターに入れるのも大変だったが、カオルちゃんが笑ってくれたからいい。

なのに、出掛ける前に‘俺が緊張している’と言われては格好がつかないよ…

白井家の到着前に五百旗頭が揃う。本来じいちゃん、ばあちゃんは来なくてもいいのだろうが、現五百旗頭当主だからと言って当然のように来た。

全員が揃って紹介と挨拶を交わしてから和やかに食事が始まり、席の近い寛人と櫂くん奏太くんが兄弟トークを繰り広げ、それに俺とカオルちゃんも加わると

「…薫子は少しだらしないところがあるので…奏太の方がしっかりしていたのかもしれません」

ババア…もとい、白井母が信じられない言葉を吐く。ムッとしたのは五百旗頭で

「あらぁ、奏太くんは珍しいタイプですか?岳人と寛人はどちらもだらしな~い小学生でしたよ?」

と母さんがクスクスと笑った。目が笑ってないって…
< 128 / 195 >

この作品をシェア

pagetop