だめんずばんざい

アフターストーリー~サプライズ~

カオルちゃんの運転で五百旗頭の屋敷へと到着する。

今日の訪問は誰にも伝えていない突撃訪問だ。誰が居ようが、誰も居なかろうがいい。俺たちは堂々とこの屋敷で過ごせばいいんだから。お客様扱いもいらない。

「どこに止めればいいのかな…広くて迷う…」
「縦、横、斜め…どんな止め方もオーケー」
「逆にあの車と車の間とか攻めたら怒られそうだね、ふふっ」
「いいけど…俺たちが閉じ込められるよ?ドアが開けられない」
「そうだね、私のテクニックをガクトに見せられなくて残念だけど…普通にここへ止める」

車1台を止めるだけにこれだけ話すのが俺とカオルちゃんの日常会話だ。

「俺の部屋行こうか」
「ご挨拶しなくていいの?」
「誰かいるなら伝わるだろうからいいよ。カオルちゃんはこの前、俺の部屋を見ることもなく帰ったんだよ?」
「そうだったね。それに挨拶も普通の家なら玄関で‘ただいま’って言えば家中に聞こえるけどここでは無理だよね。挨拶の相手を探し求めて…それだけで時間がかかりそう」

あちこちに内線もあるし使用人も多いから、そんなに時間は掛からないけど、何事もカオルちゃん自身がこれから体験と体感をすればいいと思って先には言わない。

「ここ、どうぞ」
「わっ…ひろっ…」
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