だめんずばんざい





「ガクト、何歳?あっ…生年月日…お兄ちゃんと一緒か…30?」
「そう」
「ダイニングバーのオーナーは知り合い?」
「奥さんが母さんの妹。落ち着いてきたね、カオルちゃん…良かった…」

ガクトは私を引き寄せぎゅうぎゅうと…とても強く抱きしめた。

「家のこと聞いても俺から逃げないで…一緒にいたい…俺、出来ることちょっとは増えたし…」
「たまに歯ブラシが立ててあるね、最近」
「うん…あとで気づいて直すんだよ」
「ガクトが私に気を使うなら一緒に暮らさない…歯ブラシくらい何とも思わないもん」
「うん」
「これやってって言えば、ガクトはやってくれるからそれで十分だよ。一人だと誰にも言われないし、兄弟で言うとケンカになったんだね」
「そんな風に言ってくれるカオルちゃん最高」
「ふふっ…お手伝いさんがいたんだもんね…何もしなくてもよかったんだもの、普通だと思うよ?」
「ありがと」
「私はお手伝いさんじゃないから、ガクトに布団畳んでって言うし、リンゴ切ってって言うし、ご飯がお茶漬けの時もある」
「うん」
「それでもいいの?」
「カオルちゃんじゃないとダメ」
「結婚する?」
「する」
「しちゃおっか?」
「いつ?」
「わからないけど…あっ派手な結婚式はパス」
「俺も嫌。二人だけでいいね」
「二人とも幸せになれると思う?」
「間違いなく」
「じゃあ、結婚する」
「五百旗頭薫子でいい?」
「いいけど…ミステリー作家っぽくない?」

二人でクスクスと笑ううちに

「「カオルペコ」」

私のお腹が鳴って今度は二人で大笑いをした。

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