だめんずばんざい





「でも、家のことは…問題ないと思うよ?旧家としては、もう付き合いの縮小をしているから」

意味がわからない私にガクトはさらに詳しく話してくれた。

スーパーゼネコンとしての‘五百旗頭’一本にしていきたいというのが彼の父親の意向で、彼の両親は家同士の付き合いのようなものには一切出席しない。それは癒着等を防ぐことにも繋がりガクトも賛成らしい。一企業としてやっていくだけで多忙だし、気を使うだけの茶会等で仕事の探り合いや駆け引きは無駄だという。彼の祖父母は茶会等に出席する生活をしているが、息子夫婦には強要していないそうだ。

「それに…母さんは何の稽古も心得もないと思うよ。2年前まで幼稚園で働いていたよ」
「先生?」
「そう。うちには手伝いの人もばあちゃんたちもいるからね、好きに働いていたよ」
「ガクトはうちに来る前、そのおうちには住んでなかったの?」
「うん。20歳で一旦家を出るのは父さんも弟も決まりのようなもの」
「そうなんだ」
「俺、一人だと家で何もしなさすぎて…1年後に弟と一緒に暮らし始めた」
「うん」
「ケンカしながらだったけど、また1年後に俺が仕事であちこちへ行き始めたから一応弟と一緒に暮らしているままでも問題なかったんだ」
「なるほど…」
「でもこの春から二人とも拠点が全く同じになって…鍵がないってところでキレられた」
「あーだいたいわかってきた…うん…そっか…」

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