だめんずばんざい





カオルちゃんとの生活は快適だった。

彼女も立ったまま飲み食いすることもあれば、食後の食器をいつまでも座卓に置いたまま寝転んでいることもあるし、何で今?と俺でさえ驚くような時間に洗濯機を回すこともあるなど、緩く生活している部分がある。

そのカオルちゃんに‘布団を畳んで’と言われても寛人とのようにケンカにはならないし、逆にカオルちゃんに何かしてやりたい気分になり、皿を洗うこともリンゴを切ることも楽しい。

スーツは持って出ていなかったけど会社の部屋には置いてあるし、そこで着替えて帰れば、この4月から秘書が付いたのでクリーニングに出してもらえる。しかし、その女が俺にいろいろと詮索を始めたので‘私的な詮索が多すぎて秘書に不適応’という報告を人事部長に提出して俺から外してもらった。そして五百旗頭の使用人の息子で、五百旗頭組の調達部にいた2歳年上の宗方聡一(むなかたそういち)を急遽俺の秘書とした。

「聡にい、急にごめん」
「いつかは岳人か寛人に付くと思っていたから問題ないが‘そうにい’はもう…いただけませんね、岳人部長」
「うん」
「まあ…人前では隙のない岳人だから、それほど心配ではないが…若き財務部長、ナメられないように初年度から結果出して行こうな」
「よろしく、宗方」
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