だめんずばんざい





ガクトは、コンシェルジュ、ジム、カフェ(夜はバーラウンジ)などが必須だと思ったらしい。私は24時間ゴミ捨て可能というのがいいと思った。

「コーディネートと言っても…それ以前に何も無さすぎて…トイレットペーパーから買い揃えないと住めないよ?」
「そうだな…前もっての準備がベッドと掃除機とハウスクリーニングのみって…はぁ…休みごとに買い出ししても何度かかるかな…?」
「家具から買うべき?消耗品から買うべき?」

二人で途方にくれ窓の外を覗きながら話していると

「ごめんね、カオルちゃん…段取り悪くて」

ガクトがそっと私を抱きしめて背中をポンポンとする。

「初めてのことは段取り良く出来ないよ」
「うん」
「少しうちに荷物増やして、そっちで生活しながらここを整える?」
「うん。ありがとう、カオルちゃん」

彼はそう言い、私の頬に口づけたあと唇を重ね…スマホの着信音に跳び跳ねた。私も驚いたけれど、彼の驚き具合に驚いて笑いが込み上げる。口とお腹を押さえて肩を揺らす私の頭を撫でながら

「はい、ばあちゃん?」

ガクトが電話に出た。

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