だめんずばんざい





「薫子さん、仕事を聞いても?」

お父さんに聞かれてお箸を置く。

「税理士事務所で事務をしています」
「長いの?」
「大学卒業してからずっとなので6年です」
「俺より下?ひとつ下かな?」
「そうです…だよね、ガクト?」
「うん。俺が30、寛人が29、カオルちゃんが28」

と、今度はすみ子さんが

「カオルちゃん、このバッグ見せてもらっていい?」

そう言いながら私のバッグを指さす。どうぞと手渡すと

「カオルちゃんが入って来た時によく似合ってると思ったんだけれど、私が持っても合うと思わない?」

すみ子さんはバッグを手に立ち上がって…えっ…ポージング…

「ばあちゃん、似合ってるわ」
「寛ちゃん、そう思う?」
「似合ってる、似合ってる」
「あなた、二度言うと効果半減よ…うふふ。カオルちゃん、これ和装用かしら?」
「はい、祖母のものをもらって使っています。今日もすみ子さん、お着物素敵ですね。半襟がお洒落だ」
「えっ、お洒落なの?」

ガクトは失礼なことを言いながら

「ばあちゃん、こっち向いて」

と言い、すみ子さんは喜んでガクトに向かってポージング…なんだこの孫とばあちゃんは…?

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