だめんずばんざい





「うーん、普通に白…」
「ガクト、視力大丈夫だよね?刺繍が見えるでしょ?」
「白に白刺繍…お洒落?」
「お洒落だと思うよ?着物は無地で顔周りでさりげなくお洒落…でも私…着物に詳しくはないから失礼だったらごめんなさい」
「失礼なことなんてないわよ。若い人にそうして見てもらえたら嬉しい限りよ。カオルちゃん、早く私の部屋へ遊びに来てね」
「部屋ですか…はい、ありがとうございます」
「もうちょっと私には若いかなっていうバッグなんかもたくさんあるのよ。こうして使ってくれそうな物はどんどん持って帰ってくれていいから」
「母さん、張り切ってるね。薫子さん、僕も弟がいて岳人と寛人も男だからね。母さんは女の子が来てくれるのが、嬉しいんだよ。舞はジャージ姿で車を運転して幼稚園に行く毎日だったからね。またうちにも来て」

お父さんに言われて、疑問に思った。

「うちと言うのは、すみ子さんの部屋とは別の家ですか?」
「ああ、言ってなかったね。同じ家だよ。俺と寛人の部屋もあるまま」
「岳ちゃんの説明はちょっと雑ね」
「本当に」

すみ子さんとお母さんが説明してくれたのは、皆が同じ屋敷に住んでいるが常に一緒に生活しているという感じではないらしい。部屋数が多いし、ダイニングルームも大小3つあるほどで会わない日もあると…

「別世界でございます…はい」
「あらら、そんなこと言わずに遊びに来てね。カオルちゃんのお部屋も作らないとね」
「ばあちゃん、それはおかしいよね?泊まる時は俺の部屋に一緒だから」
「それとこれは別よね?カオルちゃん専用のお部屋はいるわよ、女の子なんだもの」

もう私にはわかりません…あっ、美味しい。

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