だめんずばんざい
「カオルちゃん、兄弟いるの?」
寛人さんに聞かれカニの手を拭きながら答える。
「兄と弟がいます」
「えっと、地元どこだっけ?こっち?」
「いえ、静岡です。兄も弟もこっちにいます」
「仲いいよね?少し前にも3人で食事してたよ」
ガクトが言うとおじいさまが
「それなら今日一緒に呼べば良かったじゃないか」
とガクトに言う。
「そうだったね。まだ俺も会ってないんだよ。また今度紹介する」
「こちらで何をなさっているの?」
今度はすみ子さんに聞かれて忙しい。
「兄は渡瀬商事というところの法務部にいます」
「法務部か…大変な仕事だね。渡瀬商事は輸出入の貿易会社だから海外とのトラブルなんてやっかいだぞ」
「弟は地元のお茶会社の東京支店で営業してます」
「静岡らしいね…営業か…岳人、寛人、株主総会の手土産にしてみるか?どう思う?」
「いいんじゃない?軽くて日持ちがして」
「皆、飲むのかな…俺だったら急須で淹れないからなぁ」
お父さんに寛人さん、ガクトの順に言っている。
「ガクトの言うことわかる…私も急須を持ってないもの。私なら緑茶のティーバッグとか水だし緑茶のティーバッグは嬉しい」
「そんなのあるの?」
「あるある、美味しいよ。もうすぐ奏太にもらうはず。毎日夏の間はそれを飲むの」
「楽しみ。カオルちゃん、奏太くんに聞いてみてくれる?企業が直接買えるのか、それともどこかの店頭で注文するのか。600箱くらいの注文になるんだけど」
600…もうね、いろいろスケールが大きい話でついていけないけど、皆がとても温かい雰囲気で良かったな。