雨の音、君の色
とある日、しとしとと雨が降る中、私たちは2人きりのチャペルで結婚式を挙げていた。

新郎の京介(きょうすけ)は、私と向き合うと「恵(めぐみ)、愛してる」と口付けを落とす。

私が目を閉じると、初めて京介と会った日のことが頭に浮かんだ――。



今日は、朝から土砂降りの雨が降っている。私は、今日からまた学校が始まるということに憂鬱になって、長いため息を吐きながら高校の制服に袖を通した。

鉛が付けられたかのように重い足を引きづって、傘を差しながら私は嫌いな学校へと向かう。

雨は嫌いだ。さらに憂鬱になるから。

イヤフォンを耳に付けて、雨の音と音楽を聴きながら、足を進めた。

ガチャ、と音がして空き家だったはずの家から、私が通っている高校の制服を着た、イケメンの男の子が姿を現す。

男の子の目が合って、男の子はニコリと微笑んだ。その笑顔を見て、私の胸はドキリと音を立てる。

私が足早に歩こうと通り過ぎようとすると、後ろから「あの」と声をかけられて私は振り返った。

「その制服……朝川高校の生徒ですか?」

そこにいたのはさっき目が合った男の子で、男の子はそう言って不安そうに眉を下げる。

私が「はい」と頷くと、男の子は「良かった」と呟くと安心したように笑った。
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