雨の音、君の色
「僕、この町に引っ越してきたばかりで……今日から朝川高校に転入するんですけど、道が分からなくて……」

「分かりました。一緒に行きましょうか」

「ありがとうございます。あ、僕……京介って言います!」

安心したように微笑んだ男の子……京介さんは、自己紹介をする。私も「朝川高校3年生の恵です」と自己紹介をした。

「……僕は、2年生です。これからよろしくお願いしますね、先輩」

歩きながら、私たちは他愛のない話をする。学校や部活の話などを。

そんな話をしていると学校に着いていて、京介くんと別れた私は、昇降口で上靴に履き替えると教室に向かった。



放課後になり、私は校舎を出る。朝に降っていた雨は止んでいて太陽も出ているけど、私の心は全く晴れない。

「……」

……京介くん以外は、誰とも話さずに終わってしまったな。

今日のことを思い出しながら通学路を歩いていると、後ろから「先輩!」と声をかけられて私は振り向いた。

「……京介くん……」

京介くんは私と目を合わせると、ニコリと微笑む。

「あの……朝、家からどうやって学校に来ましたっけ?」

京介くんは、そう言って首を傾げた。その仕草に私は可愛いな、と思ってしまった。
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