ドーナツの穴になりたかったの(詩集)

まる

「まる」



どうしても、今、この瞬間、きみに気持ちを伝えたくて。往来だというのに、何十メートルも離れているというのに、人生で一番声を張り上げて、伝えた。振り返ったきみは可笑しそうに眉を下げ、顔をくしゃっとしたあとで、両手を頭の上に持っていき、大きな大きなまるを作った。



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