経理部の女王様が落ちた先には
あの子の家から、夜の会社に向かう。
眼鏡もネクタイも外したまま、そこに急いだ・・・。




社員がするノックも、外部からの来客の内線もしないまま、勢いよく扉を開けた。
まだ残っていたその人物は、驚きながら振り向き、そして俺の姿を上から下まで確認した。





俺は、泣きそうになりながらその人を呼ぶ・・・





「勉君・・・」





そんな俺を副社長の顔ではなく、小さな頃から俺を導いてくれた怖くも優しい、俺の絶対的な存在・・・
藤岡勉として、俺を見た・・・。





「さっき電話してきた件の、あの子・・・だよね?」




「うん・・・」




返事をしながら、フラフラとソファー席に崩れ落ちる。




「たまに契約書届けにうちに来るしね。
声掛けたんだ?
第2営業部の部長としてのキミで、あの子ついてきたんだ、意外だな。」




「いや、外で会ってた。」




「外で?」




「3年間、喫茶店の中だけで。」




「それはそれは・・・ご苦労様。」




そう言いながら、勉君は面白そうに笑った。
そんな勉君を見ながら、俺は力を込めて宣言する。




「付き合うから。ちゃんと。」
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