経理部の女王様が落ちた先には
「花崎さん、昨日は大丈夫だった?」



立食パーティーが始まり少し経ってから、企画部の部長が私に声を掛けてきた。



「はい、お陰様で。
昨日は心配してくださり、ありがとうございました。」



深く、お辞儀をする。



「そんなことは全然いいんだよ!
それより、何食べたい?持ってくるよ。」



「自分で取ってきますので、結構ですわ?」



「花崎さん・・・俺には、もうそういうのいいから。」



企画部の部長が、いつものように私を嫌らしい目で見てくる。
昨日直人さんと久しぶりに会ったからか、なんでこの人と直人さんが似ていると思ったのか、今では不思議になる。



「俺、花崎さん・・・麻美ちゃんが、本当は正反対だって知ってるから。
俺には、本当の姿見せな?」



私は少し深呼吸をし、高級な腕時計をソッと触れる・・・



「それ、クセ?よくやってるよね?」



そう言って、企画部の部長が・・・
わたしの腕時計を触れる手に、ゆっくりと手を伸ばしてきた・・・




その時・・・




少しだけ香るタバコの匂いがした・・・。





私のすぐ後ろに、その人の身体が少し触れる・・・





「・・・っいてて!なんだよ、結城!」
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