経理部の女王様が落ちた先には
副社長、役員、部門長、全員が私を見る中、また全て説明出来た。
それぞれの質問にも、問題なく答えられた・・・はず。
岸部長も向こうで頷く様子が見えていた。



少し気を抜いた、その時・・・



「この、3つ目の分析のデータ、3期分なんだよね?
5期は目を通した?今、どんな感じだったか言える?
あと、5つ目の会計データ、これって補助科目ごとに出したらどうなる?」



と、今まで黙っていた副社長が、声を出した。



いつも穏やかなアーモンドの形をした目が、確かに、鋭くなっている・・・。
まるで、私を突き刺してしまうような・・・。



怖い・・・



怖い・・・




自然と、足が後ろに1歩だけ下がった時、ピンヒールの音が小さく響いた。




静かに深呼吸をして、私の高級な腕時計にソッと触れる。




そして、藤岡副社長を見る。




「5期分、全て目を通しております。
補助科目ごとの会計データも出せます。
持ち帰らせて頂き、本日中に追加の資料を皆さんにデータでお送り出来ます。
そちらでいかがでしょうか。」




藤岡副社長の鋭い目が、私を突き刺す。
それでも、わたしのピンヒールはこの場を動かない。




そんな私を見て、藤岡副社長がフッといつもの優しい顔になる。




「そうですね、そうしよう。
社内の会議とはいえ、今この場で合っているか分からない数字を言われても、判断を間違えるかもしれないしね。」




私は小さく息を吐き、お辞儀をする。




「花崎さん、あと1つなんだって?」




藤岡副社長に聞かれ、私は頷く。




「働きながらよく頑張ったね。
花崎さん優秀だし、うちとしては長く働いてもらいたいけど・・・。
どっちにしても、しっかりバックアップさせてもらうよ。」




「ありがとうございます。」




深く、お辞儀をした。
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