経理部の女王様が落ちた先には
心臓が、止まるかと思った・・・。





止まりそうになった心臓は、バクバクと煩く鳴り響き、わたしの身体はそれに共鳴するかのように身震いしてくる・・・。





わたしのすぐ横で声を掛けられ、その声を辿るように振り向く。






その人を見て、わたしは固まった・・・。








無造作に乱れた髪の毛・・・





ワイシャツのボタンを数個開けた、少しはだけた胸・・・





その目は、いくつもの死闘をくぐり抜けた戦士かのような・・・







そんな、深くて、鋭い、目をしていた。







でも、この端正で気品のある顔立ちが、戦士というより騎士のようだと錯覚させる・・・。





そして・・・




ビジネスマンの象徴であるネクタイが、ない姿・・・。







それは、鎧を脱いだ、戦いを終えた騎士のようだと思った・・・。






いつか出会った、二度と会えないと思っていた騎士が、またそこにいた。
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