経理部の女王様が落ちた先には
定時になり、誰もいない経理部。
そこに、わたしの作業をする音だけが小さく響く。




しばらくして、経理部にある時計を見る。
19時・・・
あの人は、来ているだろうか・・・。




まだ終わりそうにないその処理に、わたしは手を止めてしまった。




行けない・・・



この量を1人で終わらせてから、閉店前の喫茶店に行く時間なんて、どうしてもなかった・・・。



涙が流れそうに、なった・・・。



入社して初めて。



どんなに大変でも、涙なんか流したことはなかったのに・・・。



あの人との約束を守れない、そう思ったら・・・



涙が、流れそうになってくる・・・。




その、時・・・




経理部の扉が、静かに開いた・・・。





そこにいたのは・・・





「愛ちゃん・・・?」





新卒の、愛ちゃんだった。





驚き瞬きをした瞬間、わたしの目から涙が一筋流れた。
それを見たであろう愛ちゃんは、ゆっくりと、歩いてきた。





「麻美先輩、何かお手伝いさせてください。」




驚き、愛ちゃんを見上げる。




「普段は他の先輩達といるのに、こんな八方美人みたいなことして・・・わたし嫌な女なんですが・・・。」




愛ちゃんが困ったように笑って、わたしを見下ろしている。





「こんな嫌な女のわたしでよければ、何かお手伝いさせてくれませんか?」
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