経理部の女王様が落ちた先には
それから・・・



毎日定時で帰った愛ちゃんは、18時半には毎日のように戻ってきてくれた。
そして、1からになるけど、わたしもなるべく丁寧に説明しながら教えた。



愛ちゃんの協力により、わたしの仕事量は徐々に軽くなってきて・・・。



喫茶店に向かう時間も早くなってきた。



いつもの喫茶店のカウンター席、右隣に座るこの人からの教えが、今日も始まる。
最初に言われた通り毎日は会えなかったけれど、それでもたまに来てくれた。



この人の話し方は、要点をおさえたスピード感のあるもので、でも決してわたしを置いていかない。
たまに来てくれるだけでも、それはどんどんわたしの中に吸収されていく、不思議な感覚だった。



上に立っている人だろうな、と思った。
この人がどんな会社でどんな仕事をしているか知らないけれど、漠然とそう思った。



『時間がないから、詰め込みになる。』



そう宣言された通り、詰め込みになった・・・。



わたしも、必死についていく。



落ちないように・・・



落とされないように・・・



この、上にいるこの人から、落とされてしまわないように・・・



わたしのお城に帰ってからも、眠りにつくことなく毎日のように勉強をした。
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