俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「すみません。彼女は?」

「ああ、今回のバグに気づいたシンジョーテックの成宮さんです」

「彼女がなぜ、発売前のゲームを?」

 シンジョーテックの開発担当者とは面識がある峰だが、芹のことは見たことがない。

「なかなか鋭い質問ですね。まだ、他言無用ですよ?」前置きする。

「はい」

「成宮さんは、新城社長の恋人です」

「ええっ!?」今日一番の声が上がる。

「フンッ。儂はまだ認めてないぞ」

「香田社長に認めてもらう必要はありませんよ」暁も言い返す。

「もう、二人共やめて。源ちゃん急ぐんだよね?よろしくお願いします」

「ああ。芹奈ちゃん、今度お茶でもしような」

「はい」

「今回は、可愛い芹奈ちゃんに免じて納期に間に合わせるようにするが、二度とないと思え」

「「「「ありがとうございます。よろしくお願いします」」」」

 暁をはじめ、駿に峰に名取の声が揃う。

 芹のお陰でバグを発見し修正できた。

 芹のお陰で発売日に間に合いそうだ。

 暁にとっての女神は、本人無自覚のまま、新城堂をも救ってくれた。

 迎えた発売日には大行列。

 大人気のゲームソフトは、連日メディアを騒がすこととなった。
< 196 / 253 >

この作品をシェア

pagetop