俺を嫉妬させるなんていい度胸だ〜御曹司からの過度な溺愛〜
「お前……」

「何だ?」

「そんな気遣いが出来たんだな」

「はあ?失礼だな」

 駿が驚くのも無理はない。今までの暁は、女性に対して優しさを見せたことがない。

「とにかく頼んだぞ」と言い捨て一方的に切った。

 暁の部屋に自由に出入りできるのは駿だけだ。困った時に頼むのも必然的に駿になる。

 電話を終えて運転席に乗り込んで芹を見ると、緊張から解放され疲れが出たのと、安心したのかうとうとしている。

 最初の警戒心が嘘のように、暁が安心できる存在だと言われているようで嬉しさが込み上げる。

 化粧はしていても、寝顔は幼く見える。眺めていると愛しさは増し、今すぐ抱きしめたいし、キスもしたい。更にはそれ以上のことも……。

 ただ、今ではないと気持ちを抑え、起こさないように細心の注意をはらい車を走らせた。

 マンションに着いても起きない。

 助手席側にいき、扉を開けるが全く起きる気配はない。そっと抱き上げ最上階を目指す。

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