【完】ハッピーエンドに花束を

【1】後悔しないための告白を



 今日は2月1日。

 来月に卒業式を控える私の高校生活は、残り一カ月となった。

 充実した高校ライフを過ごしたし、部活動も後悔をしないように一生懸命打ち込んだ。
 そして、第一志望だった地元の大学にも無事に合格した。10代の今しか出来ない青春を十分に味わえた。この言葉に嘘偽りはない。

 でも、強いて言うならば1つだけ。

 1つだけ、まだやり遂げていないことがある。


「望月くんのことが好きです」

 そう、告白である。

 お相手は隣のクラスの望月暁人くん。高校2年生の時から、ずっと片思いをしていた相手である。我ながら健気である。

 しかし、そんな長い片思いができるのも残り一カ月。

 というのも、うわさによると望月くんは春から東京の大学に進学することが決まっているらしい。

 つまり、この告白がどう転んでも期限は彼が上京するまでの二カ月。いや、引っ越しを考慮すると正味一ヶ月半くらいだろう。

 だったら、この片思いに終止符を打ってしまおう。望月くんが東京に行ってしまう前に。

 そう思ったが吉日。彼が1人になるタイミングを見計らって空き教室に連れ込んだ私は、勢いのまま告白した。


「えっと、隣のクラスの花村さん?だったよね」
「!・・・そうです。隣のクラスの花村芽依です!」

 突然の告白に驚きながらも、望月くんは確認するように私の名前を口にする。
 今まで一切関わりは無かったはずなのに、まさか名前を覚えてもらっていたなんて思わなかった。好きな人に名前を呼ばれるなんて嬉しいの他ない。

 
< 1 / 41 >

この作品をシェア

pagetop