【完】ハッピーエンドに花束を

【2】隣で過ごす日々の幸せを


 私たちが恋人同士になってから、学校や放課後も行動をともにするようになった。

 好きな人がいることを誰にも言っていなかった私は、一緒に登校しているところを見られた友達に早速囲まれた。「何で言ってくれなかったの」と怒られはしたが、最後は喜んでくれた。
 全く接点が無かった私たちがカップルになるとはと、初日こそ学年全体のうわさの的だったが2日も経つと落ち着きを取り戻している。

 そんな人の視線も気にならなくなった頃、私は暁人と学食に足を運んでいた。念願だった学食を一緒に食べたいと言う願いを叶えてくれるらしい。
 食券を買って空いている席に向かい合って腰を下ろして、暁人に「何頼んだの?」と尋ねる。

「唐揚げ定食」
「そっかぁ。私チキン南蛮定食と迷ったんだよね」
「だろうね」
「えっ何で知ってるの?」
「後ろから見てたら分かるよ」

 そんなに分かりやすく迷っていたかな。と、食い意地が張っていると思われていそうで恥ずかしい。

「よく人のことの、見てるよね」 
「ごめん。不快だった?」
「ううん。逆に尊敬するよ」

 話しているうちに、番号札の番号が呼ばれた。食堂のおばちゃんのところに行って、チキン南蛮定食を受け取る。このタルタルだけでも食欲が湧いてくるんだよなぁ、と上機嫌で席に戻った。

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