カラダの関係は、お試し期間後に。
ニコニコ笑うその表情とは裏腹な皮肉っぷりに激昂しそうになった瞬間、廊下の曲がり角の向こうから人の声が聞こえて綾乃はピタッとその動きを止めた。
「桐矢くんったら、どこに行っちゃったのかしらっ!せっかく撮影見に来たのにー!せっかく今日こそは盗み撮りしようと思ってたのにネッ!」
その声の主は綾乃と同じ営業部に所属する、大坪寧々だ。
その名前と存在の意味も兼ねて周りからは“お局様”と呼ばれ、警戒されている。
葵のファン歴は葵が入社してきた当初からのものであり、40歳の本人が“葵のために独身と処女を貫いている”と公言しているほどの熱狂的ファンなのだ。
そこそこの美人だが、その性格が災いとなって恋人すらできないのが見て取れる。
「ま、まずいっ、お局様がこっちに来る…!」
曲がり角の向こうから近づくその足音に恐れ慄き、葵はキョロキョロと辺りを見回す。
そして近くの扉を見つけると、綾乃の腕を掴み取って一目散にそこへと駆け込んだ。
「えっ、ちょ…何すんのっ?!」
葵に引っ張られるまま逃げ込んだそこは薄暗くて狭い、備品室。
「桐矢くんったら、どこに行っちゃったのかしらっ!せっかく撮影見に来たのにー!せっかく今日こそは盗み撮りしようと思ってたのにネッ!」
その声の主は綾乃と同じ営業部に所属する、大坪寧々だ。
その名前と存在の意味も兼ねて周りからは“お局様”と呼ばれ、警戒されている。
葵のファン歴は葵が入社してきた当初からのものであり、40歳の本人が“葵のために独身と処女を貫いている”と公言しているほどの熱狂的ファンなのだ。
そこそこの美人だが、その性格が災いとなって恋人すらできないのが見て取れる。
「ま、まずいっ、お局様がこっちに来る…!」
曲がり角の向こうから近づくその足音に恐れ慄き、葵はキョロキョロと辺りを見回す。
そして近くの扉を見つけると、綾乃の腕を掴み取って一目散にそこへと駆け込んだ。
「えっ、ちょ…何すんのっ?!」
葵に引っ張られるまま逃げ込んだそこは薄暗くて狭い、備品室。