カラダの関係は、お試し期間後に。
「その、私なんかをお誘いしていただいて、本当によかったんですか?(今までのキープ君たちの中でも、グレードが違いすぎて自信が持てない…)」

綾乃をまっすぐに見つめると、御曹司くんは上品に微笑んだ。

「何を言うかと思えば、そんなことかい?綾乃ちゃん、キミはこの僕に最もふさわしい女性なんだよ」


とても素直には受け入れられない賞賛をいただいた。

自分がこんなにもパーフェクトな男性にふさわしいような女性であるわけがなく、そんな資質も持っていないことは自分が一番よくわかっているのだ。

かつて、ネイチャーくんを試すためとはいえ、異性の前でゲップやオナラをしてしまったことを思い出しては、綾乃は微かに首を横に振った。


「(そう、私なんて桐矢に言わせれば“ガサツな性悪女”だし)」

無意識に、昼間に聞いた葵の言葉が、声が、脳裏を通り過ぎる。


『……恋愛対象外って感じ?(笑)』
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