先生、私がヤリました。
先生はみんなとは違うって思ってた。
私も先生にとって、みんなとは違うって思ってた。

だって先生は私に可愛いって言ってくれたから。
私にキスをしてくれたから。
寂しい私を慰めてくれたから。

でもそれは本当に、私が「みんなとは違ったから」なんですよね。

両親が居ない。
高校生なのに一人暮らしで、どこか無気力で。

だから大人として、担任として、義務で優しくしたのかもしれません。

私が可哀想だったから。
可哀想じゃない私なら、みんなと同じように普通だったら最初から興味なんて無かったのかも。

私だけがマジになってバカみたい。
惨めだ。
こんなのってあんまりだ。

「先生。」

「ん?」

「それ、私のです。」

「え?」

「その缶バッジ私のだから返してください。」

「お前の?え…、は?」

「だから!私が先生をからかってやろうって思って用意したんです!なんか私の気持ち先生に遊ばれちゃったなぁって思ってムカついたから意地悪しただけです。」

先生はふざけるな!って大声を出して椅子から立ち上がりました。

私は缶バッジを握り締めて、生徒指導室を飛び出しました。
私の名前を叫びながら「待て!」って先生が言ってたけど、すれ違った別の教師が先生に駆け寄って、どうしたんですか!?って宥めてました。
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