星と月のセレナーデ
事なくを終えて私は急いで先程の彼の元へと走った
何故かはわからない。
ただ
胸騒ぎがしていた
原因はわからない。
でも、行かなきゃいけない気がした。
何かに呼ばれるように
私は人混みから外れ
本堂の傍にある
大きな蔵の裏へと回り込んだ。
大きな木々の間から
月の光が照らす影が上下に揺れていた。
音を立てぬように彼に近づく
静かに一歩一歩
近付くたびにはっきりと見えてくる
彼の後ろ姿
少しずつ聞こえる
浅く息を吐く彼の呼吸音は
何故だかすごく疲れていて、何かに迷っていて
苦しんでいるようだった。