咲き誇れ、麗しい華。
これ以上不安にさせたくなくて誤魔化そうとしたが、ふとよみがえってきた光景に声が途切れてしまい、目を逸らす。


引退してからは1度も会ってない。

廊下ですれ違ったりも、トイレで鉢合わせたりもしていない。


けれど……。



「……1回だけ、目は合ったかな。睨まれてはないとは思う、けど」

「そう、ですか……」



第一印象は、ザ・体育会系。

強面で近寄りがたそうな外見とは裏腹に、照れると耳を真っ赤にする一面があって。

そのギャップが可愛らしいと、秘かに想いを寄せていた人もいた。



「あの……その人って、私の知ってる人だったりします……?」



思わぬ部分を突かれて、目をカッと見開いた。



「あっ……別に、先生にチクるとか、校内にバラすつもりはなくって! 前にクラスメイトが、サッカー部に好きな人がいるって言ってたので、ちょっと気になって」
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