政略結婚ですが、不動産王に底なしの愛で甘やかされています
 一日を振り返って自分の言動を思い出していたら、最終的に頭の中を埋め尽くした恵茉との濃厚なキスでまた身体の奥が疼く。

 なんだこれ。好きと気づいてからたったの数時間でこんなにも気持ちが溢れるものなのか。

 夫婦になる今日まで淡々と事を進めてきた自分の豹変ぶりに、苦い笑いがこぼれそうになる。

 そうしているうちに規則的な寝息が聞こえて、そっと目を開けて隣をうかがった。

 引っ越し作業や、ついに夫婦となった緊張感などで疲れが溜まっていたのだろう。

 あどけない顔ですーすーと眠る恵茉をしばらく眺めていたら、俺もいつしか抗えない眠りに心地よく引っ張られていった。

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