私の嘘と彼女の真実
ひさしぶりの呼び出しが、結婚報告とそののろけだけで終わるはずがない。
もう悪い予感しかしないが、それでも笑顔のまま彼女の次の言葉を待った。

「結婚式で、友人の挨拶をしてほしいの」

思わず、季実枝は和史をじろりと睨みつけていた。
彼はびくりと身体を大きく震わせたあと、そろーっと顔ごと視線を逸らす。
きっと全身、だらだらと変な汗を掻いていることだろう。

「季実枝ちゃんは私の一番の友達だから、どーしてもお願いしたくて」

ねっ、と両手で季実枝を拝み、友子が可愛らしく小首を傾げる。
これで引き受けないのは友達甲斐がないが、季実枝には季実枝の事情があるのだ。

季実枝と和史がセフレだったのはすでに話したが、季実枝は彼の友人たちと面識がある。
というか、セフレとはいえ実態は友人にかなり近かったので、一緒にバーベキューしたりと遊んだりしていたのだ。
そんな季実枝が新婦の友人として挨拶をしたら、その場の空気がヤバいものになるのは目に見えている。

「えーっとね、友子?
お式はいつ?」

もういい加減、笑顔を保つも限界だ。
それでも、根性で続けて聞く。
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