私の嘘と彼女の真実
そんな彼と別れたのは半年前、和史に恋人ができたという理由だった。
しかしそれが、大学入学から十年来の親友である友子だとは思わない。
もっとも、最近は忙しくて友子とはあまり会っておらず、付き合っている人がいるのは知っていたが深く話すまでには至っていなかった。

「へー、合コンで、ね……」

「そうなの、それでね!」

友子の話はさらに続いていく。
それに季実枝たちはただ、相槌を打つだけして聞いていた。
合コンで和史に一目惚れした友子は彼女にしては珍しく積極的に押し、彼を落としたらしい。
いつもゆるふわな彼女に、そんな情熱的な一面があるだなんて季実枝は知らず、驚いた。
それはいいがどうして私の元セフレなんだろう。
和史は顔もいいし優しいが、かなり自分勝手なところがある。
そういう部分があわず、季実枝と和史の恋人関係はすぐに破綻した。
そういう和史と友子が結婚だなんて、不思議で仕方ない。

「それで、季実枝ちゃんにお願いがあって」

のろけ尽くして気が済んだのか、ようやく友子が本日の本題を切り出してくる。
上目遣いでおずおずとうかがってくるのは、大変可愛らしい。

「うん、なに?」

< 2 / 32 >

この作品をシェア

pagetop