悪役令嬢ですが推し事に忙しいので溺愛はご遠慮ください!~俺様王子と婚約破棄したいわたしの奮闘記~2
一章 推し活宣言は彼の苦悩と共に

アメリアの〝最推し〟ことミッシェルは、先週に第一王子であるマティウスと婚約をした。

王太子殿下の婚約者として、社交も忙しくなっている。

昨日も引き続き、彼女のスケジュールは目まぐるしいほどだった。お披露目の着替え、謁見、他国からのお祝いや会食も続いている。

「昨日は会えなくて寂しかったよ。元気にしていたかい?」

「もちろんです!」

アメリアが元気いっぱいに答えると、湖色の目が優しく細められた。

「そうか。良かった」

少し頭が傾いた際に、ミッシェルの美しい銀色の髪が、細い肩にさらりとかかっていた。

(んああああああっ、美しすぎる……!)

アメリアは、椅子の下に隠した手をぎゅうぎゅうに握り締めてこらえる。隣でクラークが、挙動不審なくらいに固まっていた。

あの舞踏会から、怒涛のように一週間と一日が過ぎた。

その忙しい間も、ミッシェルはアメリアとクラークと会う時間を作ってくれていた。

本日も彼女の空き時間に待ち合わせし、アメリアとクラークは王宮奥の別棟のいつもの場所でお茶をしていた。

場所は、ミッシェルの状況によっては個室だったり、控室だったり。王宮の上階のテラス席だったりと移動する。

けれど、三人で会ってお茶をする、ということは変わっていない。

こうして集まれる時間を、互いが大切にしていた。

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