近くて遠い幼なじみの恋
「あーちゃんだし仕方ないよね」

「さちは幸だし諦めろ」

2人の言葉に共通なのは…

【好き】って事。

「あーちゃんの事好きだし仕方ない」

「さちの事を好きな俺だから諦めろ」

て感じかな?

「結納代わりに今日は宴会するぞ」

柊じいちゃんが言えば、

「幸!ありったけの魚持ってこい」

鰯じいちゃんも負けずに叫ぶ

2人の大きな声に襖が開いてお互いの両親も喜んでた。




☆☆3年後☆☆


「さち、起きろ。旅館見えて来たぞ」

「まだ眠い…」

「あー…」

半分目をつぶった私と言葉になってない2人の子供。

「さちより勘太と三春の方がちゃんとしてる」

甘い顔で可愛い息子と娘のもちもち頬っぺをつんつんしながら私には冷たい表情

3年前に籍を入れてイギリスに渡った私達は3年後には4人家族で帰国

1年前に産まれた双子の子供達はあーちゃんに似て可愛い(自画自賛)

「柊じいちゃんが旅館の跡継ぎに三春をとか言ってたよ。地元の美人若女将で売り出すって」

「鰯じいちゃんは勘太を魚屋にて俺に言ってたよ」

タクシーの中でまた何か企んでるであろう2人の祖父を考えて頭が痛い

「まあ、俺が好きにはさせないけどな」

子供を見守る顔は甘々なパパでその姿にまた瞼がどんどん閉じていく

パチン!

「あーちゃん痛い!私にも優しくしてよ」

「また寝るからだろ」

デコピンに顔を歪ませた私は口を尖らせる

「さち」

赤くなってるはずのおデコにリップ音をさせられたら…許しちゃうじゃん。

「あーちゃん」

「ん?」

何万回、何億回とこれからも呼び続ける名前を呼んであーちゃんの肩にもたれかかり近くに見えて来た旅館に2人で微笑んだ


☆終
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