近くて遠い幼なじみの恋
手始めに隣町へ移動して洋服を何点か見て回る。

いつもTシャツにハーフパンツの私に佳奈はよく「小学生かよ」と突っ込むけど仕事で服に気を使う必要ないし楽が1番。

まずは淡いピンクのシフォンワンピースを試着してはみたけどピンと来ない

「これ結婚式とかに着そうなんだけど。」

ふわふわのワンピースは柔らかいイメージで可愛いけど何処に着て行けば良いのか分からない

「1着くらいは持ってても良いんじゃない?あ、そう言えば良いのあったよ」

にんまりと笑う佳奈の顔は怪しいとしか思えない。

「何これ…今どき着る?普通」

真っピンクのテカテカ生地のネグリジェを私にあてて

「朝起こしに来た時にこれ来てたらびっくりするんじゃない?」

まあびっくりするとは思う。
後は冷めた目をされるのも分かる。

「びっくりよりも引くよね、多分」

「まあそうだろねー」

ケラケラ笑いながら何処から持って来たのか分からないネグリジェを戻しに行く

あんなの着てたら引くどころか末代までの恥になりかねない
女子力よりお笑い力を高められそう。

「これならどう?」

またもにんまりして持って来たのはコットン素材のブルーのショートパンツ。
まあギリそれなら上はTシャツとか着ればいけそう

「これなら大丈夫そうね」

容赦なくカゴにほおりこまれて有無も言わせてくれずその後も3軒ハシゴにせっかく地道に貯めたお金は響に行くより先に女子力に使ってしまった。



「幸ー!お風呂入りなさいよー」

1階からの怒鳴り声に「うーん」と適当に返事をしてベッドに寝そべりながら携帯のあーちゃんの隠し撮りファイルをスクロールする

隠し撮りと言っても撮る時に気付かれてめっちゃ嫌そうな顔をされそれにも負けず死守した10枚くらいしかない

「後2日か…」

寂しくなるから封印してたファイル。
禁断症状で昨日から何回もスクロールしてる

「うわ!」

写真が消えて知らない番号の着信に危うく顔に落とす所を何とか堪えて指をスライドさせた

『何で出るんだよ』

「あーちゃん?!」

耳に入って来た声に飛び起きて正座をしてしまう

『さち、聞いてる?知らない番号に簡単に出るなよ』

「ハッ!!何であーちゃん知ってんの?」

お互いに教えあった覚えもない。
配達とかの関係で登録してない番号でも普通に出てしまう癖を怒られてしまった

『ああ、さちが寝てる時に携帯みた』

普通勝手に!とか怒る所なんだろうけどあーちゃんに私が怒れるわけもない
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