こころが揺れるの、とめられない
ちょ、ちょっと待って。
頭がついていかないよ。
そりゃ、三澄くんの絵の練習が終わった後は、自然と一緒に帰るようになってたけど……。
同じ方向に歩くのに、わざわざ別で帰るほうが、おかしいもん。
……それが、勘違いされてみんなに広まってただなんて。
「……まあ、三澄の好きな奴が、誰であれさ」
「……」
「気をつけろよ、もっと。付き合ってるわけじゃないなら、少し距離置いたりしたほうが、いいんじゃねーの」
「女の嫉妬は怖ぇんだろ」と綾人の手が伸びてきて、がしがしがし、と髪を乱される。
ちょっと乱暴だけど、励ましてくれるような、優しい手つき。
「わかったかよ」
「う、うん……」
半分放心状態のまま、わたしはなんとか頷いた。