こころが揺れるの、とめられない
わたしの言葉に、さやちんは小さく「そっか」とこぼした。
訪れた沈黙に、目を伏せる。
上履きの先を見つめたまま、わたしは、そっと息を吸いこんだ。
「……そういうのじゃ、ないけど」
『あいつ、結構悩んでたみたいだから。上村さんにも予定があるだろうけど、できれば力になってやって』
先生に言われた言葉を、頭の中で反芻する。
——あの日、三澄くんはどうしてひとり、屋上にいたんだろう。
もし……。
もし、わたしと一緒で、どうしようもない現実から目を背けたくて、ひとりになりたくて。
誰もいないであろう、放課後の屋上に逃げていたのだとしたら。
「力にはなってあげたい、かも」