憎んでも恋しくて……あなたと二度目の恋に落ちました


院長夫妻もふたりの交際を認めて、微笑ましい恋人同士だと見守っていた。
みどりにとって初めての恋だ。いつか彼の妻になる日を夢見ても不思議ではないだろう。

だが義実が妻にしたのは、実家の診療所に勤める看護師のみどりではない。
西関東総合病院の理事長のひとり娘だった博子(ひろこ)だ。
義実は実家の診療所を継ぐのではなく、大病院のトップを目指す人生を選んだ。

恋人に捨てられたみどりだが、院長夫妻に引き留められてそのまま立花診療所で働いていた。

数年後、みどりの住むアパートを義実がいきなり訪ねてきた。
気位の高い妻との暮らしに疲れた彼は、みどりに癒しを求めてきたのだ。
ふたりは再び燃え上がり、許されない関係に溺れていった。

みどりは院長夫妻にも秘密の、義実の隠れた愛人という立場に甘んじた。

やがてみどりは妊娠。だが、結婚できるはずもない。

みどりは義実にも院長夫妻にも子どもを授かったことを告げなかった。
子どもをひとりで育てる覚悟を決めて、金沢に帰ることにした。

そして、由美を出産。
実家の長谷川家は裕福だったが、みどりは看護師として働き続けた。
許されない関係でも愛を貫いたというプライドだったのか、ひとりで由美を育てようと必死にがんばった。
だが無理がたたって、由美が中学生になる前に病に倒れてしまったのだ。



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